« ニセ科学に騙されない為に(まとめ的な) | トップページ | 自分の信じているモノにニセ科学のレッテルを貼られ,貶められていると思っている人に読んで欲しい文章 »

水面だけを見ていると氷山の大きさを見誤るかもしれない、ということ

 会社で、時々プレゼンを実施します。社内プレゼンなので、気楽なもんですけど(^-^;
 資料はパワーポイントで作成するのですが、10分のプレゼンだったら、10〜20枚の資料になります。データをじっくり示すような内容ではないので、枚数をやや多めにして、リズミカルに発表します。
 で、それとは別に、同程度の枚数、「ウラ資料」を用意します。これは正規の発表では全く表には出てきませんが、質問があったときなどに、更に詳細を説明したり、派生した話をするために使うためのものです。

 ウラ資料が表に出ることって、ほとんどありません。実のところ,それほど質問もないので。
 でも、毎回準備します。個人的には3倍量くらい用意しておきたいんですが、そこは時間との兼ね合いで、2倍がせいぜいですね。

 ウラ資料は、いざというときに提出できるように用意しているのですが、ウラ資料の存在が、オモテ資料の質を高める効果もあります。これよりもこっちを出した方が流れが良くなるな、とか、これはこっちの後に持ってきたほうが興味を引きそうだな、とか、ここはワザと穴を用意してw 突っ込ませてやろう、とか、そういう事を考えるときに、ウラ資料の情報が活きて来るんですね。
 これって別に私だけがやっていることじゃなくって、プレゼンをする人の大半がやっていることだと思います。

 時々、ウラ資料を全く用意していない人もいます。新人さんか、もう擦れちゃったベテランさんが多いですね。そういう方のプレゼンはやっぱりそれなりだったりするんですけど、中にはそれでも素晴らしいプレゼンをなさる方がいらっしゃいます。
 たまーに質問があったときもスルスルと答えが出てきますし、その場にあるホワイトボードにさくさく略図を書いたりして、それがまたすごく分かりやすい。私みたいにわざわざ準備しなくても、頭の中に既に膨大なストックが用意されていて、そこから自由自在に情報を引き出せるんですね。そしてその中から絞りこすようにプレゼンが構成されている。まさに氷山の一角なんです。だから面白いし、引っ張ればそれにヒモついた情報がいくらでも出てきます。
 ちょっと悔しくて、羨ましいです。すごいなー、とてもマネできないなーって。

 一つの言葉の裏に、どれだけ多くのものが隠されているのか。それが表に出てくる言葉の質を決めているんだと思います。

 私はニセ科学批判のブログ等に良くお邪魔するんですが、ニセ科学批判者の書く文章は、すごくシンプルです。その言葉の裏にどれだけのものが隠されているかを想像して、想像しきれなくて、呆然としてしまうくらい、絞り込まれています。
 問題の本質をクリティカルに見極めているからこそ、これだけシンプルに出来るんだろうな、と思います(だから私の文章は長いんですね(^-^;

 時々、その水面下の部分を全く想像できていないんだろうな、思えるコメントを見かけて、残念に思うことがあります。
 何故それが分かるかというと、そういう人たちに共通のパターンが観察されるからです。

1.口調がきちゃべっちゃい
 明らかに感情的な反発が優先しているな、と感じる人の発言を観察していると、やっぱり相手の発言の主旨と食い違っていることが多いです。
2.論点が次々に移っていく
 もうとにかく、相手の欠点が見つかればいいと考えているように見えます。相手の主張を理解していて、かつ自分の対立点がはっきりしているのであれば、そうそう論点は移せないはずです。
3.反論され、再反論できていない主張を何度も繰り返す
 何が言いたいのかは分かるのですが、その正当性を示せていません。自分の主張を受け入れてもらいたいのであれば、いろいろな角度から、いろいろな言葉を使って説明しなければならないのですが、それが出来ない。一方受け答えをしている側からすればそれは既に検討済みで、かつ重要ではない、クリティカルではないとして切り捨てたものだったりします。
4.具体例が提示できない
 抽象論に終始して、「で、その具体例を一つで良いから示してもらえますか?」と問い返されても、具体例を示すことが出来ません。(※1)

 なあんか、私自身にグサグサ来ますねorz...(※2) まあ、岡目八目ということで、ご容赦ください。

 相手が考えて、考えて、考え抜いた挙句に余分なものを切り捨てて、最もクリティカルな部分を言葉にしている、という事が読み取れないと、安易に反発してしまう。議論になったときに相手の考えの深さについていけずに、上のような特徴になって表れてしまうんだと思います。
 例えは悪いですが、相手が捨てたゴミ袋を拾って、その中からガラス玉を見つけて、「見ろ、こんなに綺麗なダイヤモンドがあるじゃないか」と言っているようなものです。

「なに勝手な事言ってんだ」
「バカな事言ってるなあ」
「なんでこんな簡単なことに気付かないんだ」

 こんな風に思いながら書き込みしようとした時はちょっと一息入れて、相手の発言のウラにどんな真意が隠されているのか、再検討してみた方がいいと思います。

<注釈>
※1
 よく「メタな議論」「ベタな議論」などという言い方をされています。
 「メタ」って言う言葉が(辞書を引いても)ちょっと理解しづらいんですが、私は「現実を捨象して、抽象化したレベルの議論」と理解しています。「リンゴ」と「さくらんぼ」から「赤色」を抜き出して、その「赤色」について議論する、みたいなイメージです。って、良く理解していない人間が説明してもわかんないですね(^-^;
 「ベタ」は「メタ」の反対の意味で使われます。「具体的な議論」と言う風に解釈してます。もっと妥当な解釈があるのかなあ・・・

 「メタな議論」という表現は非常にしばしば否定の意味を込めて使われますが、物事をメタ化して考えること自体は重要で有効なことだと私は思っています。良いメタ化と悪いメタ化があるということです。
 良い「メタな議論」は、自由自在にメタとベタを行き来できるような議論ですね。「で、具体的には?」と聞かれた時に、ぱっと具体論が出てこないのは、悪い「メタな議論」なわけです。繰り返しますが,私の解釈です。念のため。

※2
 私が他の掲示板やブログでROMに徹している理由がこれだったりします。他人の発言を見て、反論したくなることもあるんですけど、じっくり考えてみると自分の考えが足りていないことが分かってガックリ・・・ってパターンばっかりです。だから気後れせずに発言なさっている方を見ると、ハラハラするけど、ちょっとだけ羨ましくもありw

|

« ニセ科学に騙されない為に(まとめ的な) | トップページ | 自分の信じているモノにニセ科学のレッテルを貼られ,貶められていると思っている人に読んで欲しい文章 »

ニセ科学考」カテゴリの記事

コメント

ハブハンさんの御言葉(本文より)
>ニセ科学批判者の書く文章は、すごくシンプルです

そうですね。「簡潔な文でありながらも、その裏には深い知識の泉を湛えている。」という印象です。
一見すると、冷たい感じに見える訳ですが、慣れると平気。先輩方の思考を、楽に辿れますから。

ただし、過去の言動がガッカリな人の場合、たとえ簡潔にまとめた文章だったとしても、「ふ~む、今回は良いことを言ってる御様子。でも、後回しかも。」と成ります。
「読ませる文章。」私にとって、永遠の課題です(^^。

>2.論点が次々に移っていく

私も、勝ち負けに拘り過ぎると、こうなります(^^;
的確な反論をもらうと、「やはり鎧の下に、ハリセンを隠していましたね。乗りツッコミですか?」「いや、僕には分かるんです。だって僕、本質を見れる大人の論者だもの。」などと、一人合点して現実逃避ですorz。

ところで、相手の論点を丸裸にするような、曇らないゴーグルが欲しいものですわねえ(-_-;。会話を追っている読者さんを、失望させないためにも。
あくまで一例:「やっぱりアナタって、不健全なニセ科学批判者よね!優しさが、皆無だわ!そんなだから、純真な読者からも嫌われているのよ!この、いくじなし!ばかばか~!(泣いて走り去る)」

投稿: TAKA | 2009年4月21日 (火) 01時03分

TAKAさん,こんにちは。コメント有り難うございます。

>「読ませる文章。」私にとって、永遠の課題です(^^。

 私もです。
 誤解を避けようとすると文章が長くなり、文章が長くなると誤解のタネが増えてしまうという負のスパイラル(^-^;

 懇切丁寧さをきわめて、誤解を取り除いている文章は、私の憧れです。
 シンプルさをきわめて、誤解の余地自体を除いている文章は、憧れるのをためらってしまうくらい、はるか彼方の存在です。


>>2.論点が次々に移っていく

>私も、勝ち負けに拘り過ぎると、こうなります(^^;
>的確な反論をもらうと、「やはり鎧の下に、ハリセンを隠していましたね。乗りツッコミですか?」「いや、僕には分かるんです。だって僕、本質を見れる大人の論者だもの。」などと、一人合点して現実逃避ですorz。

 「議論は勝ち負けじゃない」と言いつつ、異なる主張を一つの同意にまとめる上では切り捨てられるモノがあるわけで、自分が積んだチップが吸い込まれると「アー」ってなりますね。
 「譲れない一線」をチップにしちゃダメだと思いつつ、それが最強のカードに見えてしまうんですよねえ(^-^;

>ところで、相手の論点を丸裸にするような、曇らないゴーグルが欲しいものですわねえ(-_-;。会話を追っている読者さんを、失望させないためにも。

 ゴーグルに自分の論点も映るといいなあ。「ハッ! 私ゃイマ、なにか言ってはならないコトを言ってしまいましたか?」とならないように。
 ちなみに私のゴーグルはつい最近、こんな感じになりました。

 ピ・・・ピピ 「な、なにィ、論点が、ない・・・だと・・・?」

>あくまで一例:「やっぱりアナタって、不健全なニセ科学批判者よね!優しさが、皆無だわ!そんなだから、純真な読者からも嫌われているのよ!この、いくじなし!ばかばか〜!(泣いて走り去る)」

「あーあ、行っちまったよ。いいのか? 誤解されっぱなしで」
「(タバコに火をつけながら)いいんだよ。オレみたいなのに近寄らない方が、海原雄山のためだ」

 てな感じでゴマかしますw
 そのあと雄山が(ニセ科学に)囚われの身となって、命がけで救出に行くという、ベタベタすぎる展開をキボウ。


 あ、「海原雄山」のネタ元は、こちらをご覧ください(^-^)

http://d.hatena.ne.jp/T-3don/20090420

投稿: ハブハン | 2009年4月21日 (火) 21時01分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/204975/28022339

この記事へのトラックバック一覧です: 水面だけを見ていると氷山の大きさを見誤るかもしれない、ということ:

« ニセ科学に騙されない為に(まとめ的な) | トップページ | 自分の信じているモノにニセ科学のレッテルを貼られ,貶められていると思っている人に読んで欲しい文章 »