« 肩書きはあまり気にしないのが吉です | トップページ | 体験談ってお店のサクラみたいなもんです »

ニセ科学ツアー_水商売

 表現がくどいのは仕様ですw 毎度長くてスミマセン。

 前回の「水からの伝言」に続く,ニセ科学ツアー第三弾。水つながりで行ってみましょう。今回のお題は「水商売」
 っと,apjさんのところをいつも見ていると,この言葉が誤解されるものだって言うのを忘れてしまいます(^-^;
 この場合の「水商売」は,綺麗なお姉さんの夜のご職業,の事ではなくて,水(主に飲料水)に関連して行われている商売全般をさした言葉です。
 「水からの伝言」も広い意味では水商売の一種ですが、ここでは水そのものから利益をゲットしているもの,中でも「磁化水」又は「活性水」と称されているものについて,ご紹介していきましょう。

<初級編> 「磁化水」ってなに?「活性水」ってなに?
 「磁化水」「活性水」って聞くと「ああ、水が磁化したものなんだな、活性化したものなんだな」って思って、それでなんとなく分かった様な気がしてしまいます。「磁化」も「活性化」も良く聞く言葉で,別にそれ自体いかがわしいものではないですから。
 でも,じゃあ水が磁化するってどういうこと?活性化ってどういうこと?と、考え始めると、私達が中学校や高校で学んだ知識の中には、そんなものは含まれていないことに気がつきます。「分かった様な気がする」って、ホントに気がするだけなんです(言葉がなじみ深いので,ついスルーしてしまいます)。

 この「中学の(又は高校の)授業では習ってないよなあ」というのは、結構重要な判断基準です(この話は別エントリで詳しくやろうと思います)。

 さて、では科学者の目から見た場合、「磁化水」「活性水」という言葉は、どんな意味を持っているんでしょうか。ちょっとグーグルで検索してみると・・・

業者のページしかヒットしない orz...

 なんと言うか,この時点でかなりの判断が出来ると思います。

 別のキーワードで検索して,水全般について書かれているページを調べていたら,磁化水の項目があるページを見つけたので,こちらをご紹介しておきます。
 小林 映章さんの「水の話」から2.2.3項「磁化水」
 この方のホームページは,水の様々な性質について解説していて,特にニセ科学批判と言う訳ではないんですが,巷の怪しい噂にはきっちり突っ込みを入れておられます。
 水の基礎知識が網羅されていて,分かり易いので,トップページもリンクしておきます。興味があったら是非ご覧ください。

 あと,ニセ科学批判者と目されていて,中立なお立場ではないんですが,冒頭のapjさんのページから解説を見てみたいと思います。
こちらのホームページのQ&Aより引用>
Q. 磁気処理水は効果がありますか?
A. 唯一効果があるかもしれないのは、赤錆とスケール防止についてです。しかし、効果があったという実験結果と、無かったという実験結果の両方があり、何とも言えないというのが正確なところだと思います。必要な実験パラメータがまだ完全に押さえ切れてないのではないかと考えています。
 しばしば、水のクラスターの話が一緒に出てきますが、こちらは誤解によるものなので無視してかまいません。
<引用終わり>

 要約すると,全く効果がない訳ではないかもしれない。その場合一番考えられるのは赤錆とスケール(水垢)防止。ただしまだ断定が出来る状態ではない。と言う事ですね。
 先の小林さんのページの記述と全く矛盾していない事が読み取れます。二つ以上の,独立した情報元に当たってそれが一致すると,安心が増しますね(類似の情報元はだめですよ。同じ人が作っているかも知れませんからw)。

 「磁化」「活性化」「水」というキーワードを虚心坦懐に見つめると,強磁場内での水の挙動だとか、水と他の化学物質との反応における活性化エネルギーとか、同じ言葉を使って、意味のある(ありそうな)研究を想定することは出来ます。でもそれって、ご家庭で口にする水とは何の関係も無いです、多分。

 apjさんのページにはこの他にもクラスター(これも水商売で良く出てくる用語)とか,磁気が水に与える影響の科学的知見とか,様々な情報が散在しているのですが,どうしても批判とセットになっておりますので,中級編の方でリンクをかましたいと思います。

<中級編>
 水に関する批判というと,apjさんの「水商売ウォッチング」が真っ先に思い浮かびますが,このページは批判を第一義として作成されている訳ではありません。
 正確には、ホームページ,パンフレット等に含まれている,科学的に正しいと言えない表現について指摘をなさっているページです。そういった意味では相手のニセ科学的主張に対する批判、とは、ちょっと意味合いは異なります。

 ただ,私達消費者にとっては、むしろこちらの方が直接役に立ちますね。消費者の琴線に触れる売り文句の部分に非科学的表現がちりばめられていれば、そこの部分を除いてもなお製品が魅力的かどうかで購入を検討すれば良い訳です。

 とは言え、世の中に溢れている全ての製品を網羅できるわけもありませんし、ここで上げられている様々な指摘を参考にして、私たち自身がモノを見分ける目を養って行きたいところ。
 うーん,それにしても,業者さんの宣伝文は理解できなくてクラクラする部分が多すぎるw とにかく言葉の使い方が乱調ですね。なんと言うか,とにかく複雑で専門的に聞こえる言い回しであれば良い,って感じ。

 まあとにかく,私の感想はこんな感じです(上記リンク先から「水商売ウォッチングコメント一覧」を見ました)。

・少なくとも水に関しては,「磁化」「活性」と出てきたらマユツバ。(言葉自体はまともなものなんだから,飲料水用以外の製品ならありかも?)
・「イオン」?うーん、まあ気にしなくていいんじゃね?
・ありゃ,遠赤外線も「水商売」の重要キーワードの一つ?
・うーん,同じ原理の製品が多いように見えるけれど,使っている用語は結構バラバラ。同じ言葉を使っていてもなんかニュアンスが違っていたりするし。ちゃんとした研究がベースになってたら,ここまでバラバラにはならないんじゃないかなあ。

<上級編>
 同じく「水商売ウォッチング」の中に、業者さんとのやり取りの記録が残されています。個人的に勉強になったものをピックアップ。全部で4回に分かれています。下まで読んだら,そこから次のページへのリンクをたどれます。

 で,これ、apjさんを始め、科学的素養のある人にはちょっと信じられないかもしれませんが、私は説得力が有るなあ、と感じました。もしapjさんとのやり取りという形になっていなかったら、丸め込まれそう。
 何と言うか、「何を書いているか」ではなく、「どう書いているか」によって説得力が変わる部分というのは確かにあって、どうも私はそこに惑わされるみたいです。するすると読めてしまうというか。

 私の感想。
こういう本も読んで、もっと勉強しなきゃなあ
・ヤバいと思ったら、関わり合いにならないって事も重要だなあ。ちょろちょろ勉強して、分かったつもりになるのが一番危険かも。
・なじみ深い表現,なじみ深い言葉が使われているだけで,どうも私たちは納得してしまうみたい。と言う事は,広まれば広まるほど受け入れられ易くなる?ニセ科学の蔓延って,加速度的に進みそうでちょっと怖いなあ。

<究極編>
 えっと,代表的なものにリンク張ろうかと思っていたんですが,なんかグーグル検索がそのまま商売サイト一覧として使えそうですw
「磁化水」で検索した結果
「活性水」で検索した結果

 勿論,検索先のサイトが怪しいかどうかは分かりません。そこは「水商売ウォッチング」と見比べながら,NGワードの多さや,NGワードを取り除いた後の文章を読んでみれば良い訳ですね。

 これらを見た私の感想。
・健康への効果って,謳っていいのかなあ(具体性がなければ良いのか?)
・やっぱり,何でもアリなんですね。
・メンテナンスフリー?ありえねーっ

 メンテナンスフリーについてはちょっと注釈。
 浄水器って、要するに水に含まれる不純物を取り除く装置です。取り除いた物質はもちろん自然には消えません。活性炭を使った浄水器であれば、その活性炭 の中に蓄積されていくわけですね。蓄積量にも限界がありますから、まっとうな浄水器は、定期的にカートリッジを交換するという作業が必要。
 だからメンテナンスフリーだとか、交換時期が類似品に比べて異常に長い製品は、良くて何の効果も無いシロモノ。もし効果があったら、却って怖いです。ただし,これは浄水機能を持つ製品でのお話。

 磁化水,活性水,磁気活性水などと称するものは,浄水機能を謳っている訳ではありませんから,これらはまあメンテナンスフリーでもおかしく無いのかも知れません。でもじゃあ,いったいどんな効果が?・・・・えーと,NGワード以外,NGワード以外・・・・・
 えーと,そうですね。せめて浄水機能くらいはあるものの方が良いかも(^-^;

 水って、いろいろな商売に利用されています。まっとうな商売にも、そうでない商売にも(こんなエントリ読んでると擦れちゃうけど,まじめに商売なさっている方が大多数なんです)。
 人々の関心が高い分野は、それだけニセモノが跋扈する余地があるんですよねえ。キーワードは「健康」「美容」「金儲け」といったところでしょうか。最近は「環境」も入ってきているのかな。

 大手メーカーも結構紛らわしいことをやってくれちゃいます。「酸素水」とか「水素水」とか「バナジウム水」とか。

 漢方薬の中にもちゃんとした効き目があるものが発見されるとか、民間療法に科学的根拠が認められたとか、そういった話はもちろんあります。これからも、今まで見落とされていたものが発見されることは何度もあるでしょう。
 だから科学的根拠が無くても、実は効果があるんじゃなかろうか。なぁんて、考えてしまうんですよね、私たち。

 私は「科学的根拠が無い」事を理由に否定することはありません。というかむしろ、全然問題ないと思います。私だって初詣に行ったときにはおみくじを引くし、お守りも買います。車の運転を生業にしている友達に、交通安全のお守りを贈ったこともあります。こういう気持ちって,きっと大事ですよね。
 で,科学的根拠が無いものには,やっぱりお守り以上のことを期待しては,いけないんだと思います。

 それが無くっちゃ生死に関わるっなんて思い込んで、何十万も何百万もするモノに手を出す前に、ちょっと調べてみてもいいのかな。特に科学っぽいものであれば,検索でなんか出てくるでしょ。少なくとも,業者のページばっかり,と言う事はないはず。

 

<蛇足かもしれない注釈>
 科学での立証には様々な段階があります。
 メカニズムまで判明する、というのが一番強力な立証かな。ただ、生体の反応はとても複雑ですから、なかなかそのレベルまでは行きません。

 メカニズムが分からなくても、効果があることは立証できます。(二重)盲検,あるいは(ダブル)ブラインドテストって、聞いたことはありませんか?被験者を二つに分けて、片方には薬を、もう片方には薬に見せかけた砂糖を与えて、差が有れば薬に効果あり、とする試験方法ですね。「病は気から」の言葉どおり、人間はプラセボといって、薬を与えられたと認識しただけで症状が改善したりすることもあるので、そういう薬以外の影響を取り除くための方法なわけです。

 もちろん盲検ならall OK、ではありません。Aという薬剤を与えたら効果は無かった。Bという薬剤を与えたら効果は無かった。でもAとBを同時に与えたら効果があった、なんてこともあるわけで、効果のあるなしの判定は難しいです。

 でも、でもですよ。

 「磁化水なら全てが良くなるんだだだっ」という主張であれば、しかもその効果が劇的なものであるならば、科学的な方法によって効果が確かめられない、なんてことは有り得ません。論文が発表され、世界中で話題になり、大手メーカーが参入し、いろいろな製品が発売されて、広く普及していくことでしょう。

 もしかしたら「健康増進に効果あり」ってことで政府が補助金を出したり、上水道の施設で採用したり、マンションの給水塔への設置が義務付けられたり。
 国民の健康って、政府にとっても最重要課題の一つですから、そうなっても全然不思議じゃないですよね。

 ではナゼ,今そうなっていないんでしょうか。
 理由は明らか,だと思います。

|

« 肩書きはあまり気にしないのが吉です | トップページ | 体験談ってお店のサクラみたいなもんです »

ニセ科学ツアー」カテゴリの記事

水商売」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/204975/27711387

この記事へのトラックバック一覧です: ニセ科学ツアー_水商売:

« 肩書きはあまり気にしないのが吉です | トップページ | 体験談ってお店のサクラみたいなもんです »