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こういった感性が,ハマりやすさの違いとして顕われるのかも知れません

 だいぶ前の事ですが,テレビ番組(放送局は忘れました)を見ていたら,エコ生活が特集で紹介されていました。
 料理で出る野菜の皮や魚のアラを使ってダシをとり,スープにするというもの。
 「今まで捨てていたものから,こんなに美味しいダシが取れるんです」とインタビューを受けている主婦がニッコリ。
 食べたアナウンサーも「これ,いいお味が出てますねぇ」とニッコリ。

 これを見た私が最初に抱いた感想は「怖えぇぇ」でした。

 私の頭にまず真っ先に浮かんだのは,野菜の残留農薬と,魚の内蔵に含まれる重金属です。
 農薬は野菜の表皮に近いところに多く残留しますし,重金属も内蔵に多く蓄積します。まさに、この放送で使用されていた部位です。

 でもね。

 すぐに思い直しました。
 昔ならいざ知らず,今使われている農薬は水で洗えば簡単に落ちてしまうものですし,魚も,種類にもよりますがほんの少量を,しかもダシに使う程度なら,全く問題は無いだろうと。(※1)

 と,ここまで考えたところで,二つほど気になったことが。

<気になった事1>
 放送局や出演していた主婦は,きちんとリスクを勘案した上で問題無しと判断したのだろうか。
<気になった事2>
 普段農薬や重金属などを気にしている人は,この放送を見てどんな感想を抱いたんだろうか。

 これ,どうなんでしょうね。
 番組では「エコって良い事ですよー」みたいな看板をぶら下げて紹介されていたんですが,このように「良い事」を前面に押し出されると,見てる人は負の側面にまで気が回らないのではないかと心配になりました。逆に「悪い事ですよー」という看板をぶら下げられると,メリットの方に目が向かなくなる。
 例えば,温泉やホルミシスを謳った商品は嬉々として利用するのに,原子力発電所からの,自然放射線よりも遥かに低いレベルの放射線漏れは気にする,みたいな。

 基本的にメリットとデメリットはセットで得られるもの。良い面(悪い面)ばかり見てちゃダメだよなあ,と改めて考えるきっかけとなったエピソードでした。

<注釈>
※1
 本文でも書いた通り,魚への重金属の蓄積は種類によって程度が異なるので,個別に確認する必要があるのですが,通常の食事の中で魚のハラワタを直接食べたとしても,問題になることはまずないと思います。
 厚生労働省のこちらのページでは,魚介類に含まれる水銀についての情報が見られます。
 水銀に限らず,また魚に限らず,同じ種類の食材を,大量に摂食するような食生活を送っている人は,一度調べておいた方が安心かも。

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コメント

 こんばんは、魚大好きな猫です。
 探求心をくすぐる内容ですね。
 
 一番良いのは、農薬や重金属を気にすることなく、好きな食べ物を望む量だけ食べられることですが、そうも行かないのが現状なのですよね、残念ながら。
 農薬や重金属の問題(認識)がある程度共有されているとするならば、このような情報をマスに提供する側に責任があるように個人的には感じておりマス。
 絶対安全などというものは無いけれど、まず大丈夫このように行えば、心配することなどほとんどないですよ、が参考リンク先ですが、これに限らず大抵の懸念事項に対してはなんらかの公式回答があると思います。
 これらの存在を知ってか知らずか、徒に不安を煽る言説をばらまく方もいらっしゃるのも又事実です。
 ○○は危険などと仰る方々は、その前に安全性の指標の根拠TDI((ADI)、NOAEL等に言及しているのでしょうか。根拠無く不安を煽るのはメリットをデメリットで包み込む、悪い面だけ見せるやり方ですよね。
 しかし、そのような方法論に理があるように見えるのも又事実で、売れれば良いのだという、姿勢の食品安全問題にもなった事例は消費者の不安を煽る商売の追い風となったことでしょう。
 
 ・・・何を書いているのかわからなくなってきました。

>普段農薬や重金属などを気にしている人は,この放送を見てどんな感想を抱いたんだろうか。

 昔の私はとっても気にしていましたので、思い出しながら想像してみます。
 「なんだ、テレビはこんな危険な内容を放送して!厚生労働省は水銀の採りすぎに注意しましょうって言ってるじゃないの。特に大型の魚が危険なのに。まあ、ウチは無農薬野菜つかってるから大丈夫だけど。」
 
 情報の取捨選択をするとき、感情で判断する場面が結構あるんです。このエントリーを読んで改めて気をつけなきゃと思いました。
 

投稿: どらねこ | 2009年3月 3日 (火) 08時52分

 どらねこさん,コメントありがとうございます。
 私も魚は大好きです。どれも捨てがたいけれど,一番はやっぱり焼きたてのサンマかな。口に入れたとき「ジュッ」って音がするくらいのやつ。

>農薬や重金属の問題(認識)がある程度共有されているとするならば、このような情報をマスに提供する側に責任があるように個人的には感じておりマス。

 インターネットが普及して,欲しい情報を手に入れようとした時の便利さは劇的に向上しましたけど,発信者から能動的に情報提供する仕組みについては,もうちょっと何とか出来ないの?,なんて感じる事が時々ありますね。
 単純にインフラの問題だけじゃなくて,ネガティブデータの提供に関しては風評被害との兼ね合いもありますから,まあいろいろ難しいんだろうとは思います。でも,きちんと正確な情報を提供する事が風評被害を防ぐ最も効果的な手段のはずですよねえ。
 マスコミもなにか出来そうなのに,現状はむしろ被害を広げる方向にしか機能していないのが,なんだかなあです。

>「なんだ、テレビはこんな危険な内容を放送して!厚生労働省は水銀の採りすぎに注意しましょうって言ってるじゃないの。特に大型の魚が危険なのに。まあ、ウチは無農薬野菜つかってるから大丈夫だけど。」

 あはは,そうですね。無農薬野菜なら安心かな。あ,いやでも分かりませんよ。実は堆肥に・・・とか言い出すとキリがないですね(^-^;

 本文にも書きましたが,結局何かを決断するということは,リスクを選択するということなんだ,という覚悟を受け入れるだけで,行動ってかなり変わるような気がします。身近な知り合いを見ていると,その辺どう考えているのか不安になる人もチラホラ(幸い極端な人はいませんけど)。
 件の野菜くずスープも,リスクを受け入れた上での行動であって欲しいなあ(小さなリスクであったとしても)と思っているんですが,真相は不明です(^-^;

投稿: ハブハン | 2009年3月 3日 (火) 21時26分

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