« トップエントリを見直してみた | トップページ | ゲルマニウムに「科学的根拠なし」 販売中止、返品検討で業界大騒ぎ »

読書感想_「ブラッドタイプ」

 久しぶりに町をぶらっとして,久しぶりに本屋をぶらっとしていたら,目に留まったので買いました。
 松岡圭祐著 クラシックシリーズ11 千里眼 ブラッドタイプ 完全版 (角川文庫) (文庫)

 小説としての感想はひとまず措いて(^-^; (※1)、ニセ科学の観点から興味深かった点を書いてみます。
 以下ネタバレです。

 小説では,血液型を信じている,あるいは少なくとも気にしている,3人の人物が登場します。

(1)父親がB型という理由で解雇され、自身もB型。人に打ち明けることをためらい、恋人との関係にもためらいを持つ少年。血液型性格判断を強く信じているわけではないが,周りの反応は気になる。
(2)少年の恋人で、自身がA型、血液型の相性で二人の仲がうまくいかないのではないかと悩み、血液型カウンセリングに傾倒していく少女。
(3)B型の男性にひどい仕打ちを受けた事からB型に強い不信感を抱いており、骨髄移植によって自身の血液型がB型になることを、死の間際になっても頑なに拒否し続ける白血病の女性。

 血液型性格判断を占いの延長線上で見ていると、これらの人たちが血液型に振り回されている姿はいまいちピンと来ないのですが、以下のような人が実際にいることを知っていると、実は現実を捉えているのかもしれないと感じて薄ら寒くなります。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1118697761(※2)

 実際のところ,上記(3)の骨髄移植拒否はともかく,(1)(2)レベルの人は結構多いんでしょう。

 さて,小説本編は「血液型性格診断が当たっているような気がするのはバーナム効果によるものだ」が解決の鍵になります。

 ウィキペディアの「バーナム効果」のページはこちら。

 この小説に関連して松岡圭祐氏の公式サイトの中に「究極の血液型心理検査 という名のバーナム効果体験テスト」が有ります。文字通り、バーナム効果を体験するためのページです。
 ココにアクセスし,いくつかの質問に答えると「診断結果」が表示されるのですが、その文章を見て、8〜9割の人が「自分に当てはまる」と感じるそうです。

 でも実は、質問と診断結果は全くの無関係。答え方に関わらず、結果の文章は完全なランダムで表示されます。もちろん、血液型もなんの関係もありません。にも関わらず、みんな「自分に当てはまる」と感じてしまう。
 それはバーナム効果によるもの、というわけですね。(※3)

 バーナム効果による説明はかなり説得力のあるモノなのは間違いないと思います。
 小説を読んで,たとえ考えを変えるには至らなくても,差別の危険性についてちょっとでも意識してもらえるようになると良いですね。
 こういう,小説という形態によるアプローチは面白いと思いました。実際にどれだけの影響が有ったのか気になります。調査した結果とか,無いのかなあ。

 

<注釈>
※1
 どのような小説が楽しめるかと言うのは,相性の問題もあるのでしょうけれど、私は感動が誘導されていると感じてしまうと醒めちゃってダメですね。今回は醒めちゃいました(^-^;
 売れているシリーズですし、単に私に合わなかっただけだと思いますけど。

※2
kikulogのこちらのコメント欄で紹介されていたものです。ちょっと重いです。
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1202024086#CID1219745681

※3
 このページはこれが「バーナム効果」であることを明記してありますが,もしカラクリを完全に隠蔽してしまえば,「良く当たる血液型性格検査」としてそのまま通用してしまうでしょう。じゃあ,世の中にある血液型性格検査は・・・

|

« トップエントリを見直してみた | トップページ | ゲルマニウムに「科学的根拠なし」 販売中止、返品検討で業界大騒ぎ »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

血液型性格判断」カテゴリの記事

コメント

ハブハンさん、こんにちは

ディスカバリーで、ワールドワイド版のバーナム効果実験を見た事があります。
複数の国で異なる人種・性別・年齢・職業・教育水準の人を集めて、
何の肩書きを名乗ったか(心理学者だったかな)失念しましたが、本職はマジシャンの人が、質問を書いたシートを渡して提出させます。
そして数頁にわたる詳細な性格診断レポートが、各自に返却されます。
ほぼ全員が、コレを読んで「何でこんなに自分の事がわかるのだろう」と驚愕するわけです。
で、最後に種明かしされます、「あなた方に渡したレポートの内容は全て同じものです」とね。
被験者達は半信半疑でお互いのレポートを交換し合い、事実に気付き呆然とした後で、
笑い出す人もいましたが、あまりにも真剣に受け止めていた人は傷ついた様子でした。
でも、最後には全員がこれからはこういうものには慎重になるだろうと感想を述べていました。
フォローは必要でしょうが、中学生ぐらいの時にバーナム効果実験を体験させるってのも良いかもしれませんね。

投稿: うさぎ林檎 | 2009年6月24日 (水) 11時18分

うさぎ林檎さん,こんにちは。コメントありがとうございます。

 すごい、面白そうな番組ですね。私もいっぺん体験してみたい・・・って,ネタを知ってるとダメか(^-^;
 事前にナニも教えずに体験させるのが一番効果的なんでしょうけれど,やっぱり傷つく人もいるんだろうなあ。

 考えてみると,心理学や倫理学,哲学みたいなものって,義務教育で触れる機会はあまりないですよね(ちょっとはありますけど)。
 思春期前にあまり激しく価値観を揺さぶるようなコトを教えるのも,また別の問題があるのかも知れませんが,世の中にアヤシげな情報が垂れ流されている現状では,もう少し正統の知識を身につけさせた方が良いような気がします。バーナム効果などは,きちんとした手順を踏んで実施すれば楽しく体験できそうですね。

投稿: ハブハン | 2009年6月24日 (水) 21時59分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/204975/30246663

この記事へのトラックバック一覧です: 読書感想_「ブラッドタイプ」:

« トップエントリを見直してみた | トップページ | ゲルマニウムに「科学的根拠なし」 販売中止、返品検討で業界大騒ぎ »