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ホメオパシーは非科学たりうるのか

kikulogのホメオパシーのコメント欄で面白いやり取りが進んでいます。
ホメオパシーはインフルエンザに効きません(追記あり5/6) の中の「フランスから」さんによるフランス国内のホメオパシー事情紹介のコメント(一番最初のコメントにリンクしてあります)。

 日本の惨状から目を転じると、なんと言うか、小春日和の温かい日差しを全身に浴びているような(^-^;
 「フランスから」さんのコメントが,フランスに於けるホメオパシー適用の一般的なモノだとすると,彼我を見比べた時の全体的な印象としては、伝統的な宗教対新興カルト宗教といった趣き。
 感覚としては日本人にとっての「温泉」に近いのかなあ。

 もちろん、細かいところでは厳然たる違いもあって、ホメオパシーが正規の医療として、保険の適用を受け、医師から処方されるというのはやっぱり驚きではあるのですが、そこはプラセボ効果の位置付けが、もしかしたら日本での考え方とは大きく異なるのかもしれないですね。

 さて,一連のやりとりで,私が知りたいけれどまだ提示されていない情報(11月12日現在)として,以下の2点があります(他のかたからも質問が寄せられていますが)。

1.処方する側は,ホメオパシーを科学(医学)と称しているのか(装っているのか)
2.処方される側は,ホメオパシーを科学だと思っているのか

<「フランスから」さんのコメントより一部引用>

西洋医学と切り離されて独立している訳ではなくて、医師の医療
行為の中の一部として存在しているため、医療行為のできる医師
のみに許されています。
また、彼らは医大在学中に授業の一環としてホメオパシーを学びます。
(うちの義母の場合は、医大在学中にはまだ医療行為として
政府の認定がされていなかったため、政府認定の医療行為と
なった時にホメオパシーのディプロムのために大学に戻り、ディプロムを取っています)

 とありますが,その医大で「医学として」教えられているのかどうか,また医師が実際に処方する際に「これ,なんの効果もありません。ただの気休めですよ」とちゃんと言っているのかどうか,とても気になりますねえ。

 今のところは4つのケースが考えられます。
1.ホメオパスは科学を装っておらず,患者も科学と思っていない
2.ホメオパスは科学を装っているが,患者は科学と思っていない
3.ホメオパスは科学を装っていないが,患者は科学と思っている
4.ホメオパスは科学を装っており,患者も科学と思っている。

 これらのうち,まあ問題がないと言えるのは1番のみ(※1)で,その他はいずれも問題を持っています。
 実際にはこれらが混在しているのでしょうが,ざっくり分けると,日本の状態は4番ですね。医療ネグレクトの事例(※2)を目にするに付け,かなり深刻な状態と感じます。
 日本に比べて「フランスから」さんの文章からはかなり穏健な様子が伝わってはきますが,一連のコメントから類推するに,分類してみればフランスもやはり4番に属するのではないのでしょうか。
 だとするとやはり,潜在している問題が小さいモノだとは思えないのですよね。

 で,表題の答えですが,2〜4のケースに該当している限り,ホメオパシーを非科学と判断するのは難しいです。


 っと,すでにpoohさんのブログで関連エントリが。
Chromeplated Ratより呪術と背景

 呪術と言う切り口は,私は全く考察が足りていないんで単なる言葉遊びになってしまいますけど,現代社会において,ある切り口では「科学」=「呪術」かつ「科学以外のモノ」≠「呪術」が成立していて,「呪術」に実効性を持たせるなら「科学」を装わずにはいられない,ということがあるのでしょうかねえ。

<注釈>
※1
 金銭的な損失が発生していると考える事も出来ますが,基本的には神社でお守りを買ったりおみくじを引いたりするのと同じでしょう。保険適用はやっぱり解せませんけど。

※2
 他のエントリで取り上げたモノも含め,再度ご紹介。

琴子の母さんのブログ助産院は安全?よりお子さんが亡くなってしまいました

 お亡くなりになったお子さんのご冥福を心よりお祈りいたします。
 この事例で言語道断なのは,ネグレクトしたのがお子さんの親御さんではなく,ましてや生まれたばかりのご本人でもなく,助産師だった事,そして親御さんがそれを一切知らされていなかった事です。

NATROMさんのブログNATROMの日記よりホメオパシーと医療ネグレクト

Kumicitさんのブログ忘却からの帰還より自分の生後9が月の娘を死なせたホメオパシー医

っていうか,Skeptic's Wikiでだいたい網羅されていますね。「ホメオパシー

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コメント

じつはこのあたりすごく微妙な問題をはらんでいて、例えばぼくみたいな一般人がなにか云うのは危険だったりもするんですが(だから考える意義もある、と思っているんですが)。

注射を痛がって泣くこどもに、お医者さんが「いたいのいたいのとんでけ」ってやっても、そこにエビデンスがない、と云って非難するひとはいないと思うんですよ。で、医療の現場にはいろんなスケールで類似の行為が必要になる場合があるし、医者にそう云う行動をとることが求められる場合もあって。
ただ、そう云う行為も適切に行われる必要がある。通常医療の代替にはならないわけですから。そうすると、患者が生きている社会の環境・文化への理解を踏まえて適切に方法を選ぶ、と云うのが必要になる(そしてそこを見極めるスキルが必要になる)。そこの部分の判断を誤ると「効かない」わけですから。
で、そう云うある行為の意味合いを決める背景みたいなものはあとづけで決めることはできない、みたいな感じでしょうかね。

投稿: pooh | 2009年11月13日 (金) 07時45分

poohさん、こんにちは。
 ああ、すみません。poohさんのトコロが本筋なのに、場所をバラけさせてしまいました。

 エントリ及びコメントを拝見して,いろいろ考えていたら長くなってしまったので,お返事を別エントリとして挙げました。
http://t2sy8u.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-79ac.html
 かなり背伸びをしてしまったのでちょっと恥ずかしいですが,よろしければ見てやってください。

投稿: ハブハン | 2009年11月13日 (金) 21時17分

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