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ナノの次はピコ

 TVCMを見ていたら、今度は「ピコイオン」なるものが出てきましたね。際限ないなあ。
 ナノは10のマイナス9乗(10億分の1)。ピコはその1000分の1、10のマイナス12乗(1兆分の1)になります。

 ナノを超え、とうとう時代はピコに突入!・・・でも突入する意味はビタイチ分かりません(^-^;
 なのでちょっと調べてみました。もしかしたらすごいモノかも知れないしね(棒読み)

<ピコイオンってナニ?>
 こちらのページに、「ピコイオン」の説明が載ってました。
「ピコイオン」の発生ユニットを搭載した加湿器の発売について

「ピコイオンユニット」は、微細な水につつまれたOHラジカル注1である「ピコイオン」を発生させる装置です。

 「微細な水に包まれた」ってなんか不思議な表現。「微細な水(滴)」ならわかるし、「水分子に包まれた」も、分かるけど、「微細な水に包まれた」となると、どんな状態なんだろう。
 普通に考えれば「OHラジカルを含んだ微細な水滴」って意味ですかねえ。

「ピコイオン」は、小さなものでは500ピコメートル程度の大きさです。

とのコトですから、大きいものはナノサイズなのかな。まあ「ナノ」が多用されていた時も、サイズを見てみると数百ナノメートル、というコトが良くありましたから、最小サイズが1ナノメートル以下であれば、OKって事なんでしょう。
 ところで(これは私の無知ゆえの疑問ですが)気相中の液滴、それも気化してしまうモノの大きさって、どうやって測るんだろう? ちょっと考えただけだと、なんかすごく難しいような気がしちゃいますね。

<ピコイオンの効果は?>

放出された「ピコイオン」(微細な水につつまれた強い酸化力のOHラジカル)が、空気中に浮遊するウイルス、菌に付着して細胞壁の中から水素原子(H)を抜き取り、「ピコイオン」自体は水(H2O)に戻ります。水素原子を抜き取られたウイルスや菌は、細胞内の水分がなくなり細胞分裂ができなくなり活動が抑制されます。

 ・・・「ウィルスの細胞壁」? 「ウィルスは細胞分裂ができなくなり」?
 うーん、どれどれ(ちょっと検索)・・・もしかしたらエンベロープやウィルスの不活化のコトを言ってるのかなあ。ウィルスを不活化するのが事実だとしても、文章としては明らかな間違いレベルじゃないですかね? 一瞬自分のウィルスに対する理解が間違ってるのかと思っちゃったよ。

水あかの付着を防ぐ「抗菌注7・防かび注8ロータリー気化フィルター」は、分解してお手入れができる上に、表と裏を入れ換えて使えるのでメンテナンスにより約24ヶ月ご使用いただけます。また、給水しやすい広口の「抗菌注9広口タンク」、「抗菌注9タンクキャップ」、トレイ内の水のぬめり、菌の繁殖を抑える「抗菌注10ガラス」の採用で、加湿する水も清潔に保ちます。
(中略)
また、「プラチナフィルター」で捕らえた菌の働きを99.9%抑制注11します。

 あららら、ユニット内の菌の繁殖も「ピコイオン」で抑制すればいいのに。と思ってよくよく見ると・・・

実験用の発生装置を使ったもので、製品に同様の効果があることを保証するものではありません。

と書いているのが、正直といえば正直。つっても、じゃあちゃんと製品で確認しとけってハナシですけど(^-^;
 製品の効果がどれほどのものかは不明ですが、とりあえず自ユニット内の菌抑制はできない程度、って理解でいいのかしら。 

<ピコの次はフェムトが来るのか?>
 水分子1個の大きさはこちらに情報がありますね。
「水からの伝言」を信じないでください の中のページ
科学者は、水のつくる結晶を見て美しいと思わないのですか?

今日では、水は(この場合、液体の水と思っても、物質としての水と思ってもかまいません)、大きさが 3 オングストローム(1 オングストロームは、1000万分の1ミリメートルです)程度の水分子が、数多く集まってできたものだということが、わかっています。

 3オングストロームは300ピコメートル。小さいピコイオンが500ピコメートルってことは、水分子一個プラスOHラジカル、かな。これだと「微細な水につつまれた」状態にはならず、ピコイオンの定義に合致しないような気もするのですけど・・・

 なお、各元素の原子半径も調べてみました。http://www5f.biglobe.ne.jp/~rokky/kaisetu/0/syuukihyou_pdf02.pdf

 一番小さいのがヘリウムで0.31オングストローム(31ピコメートル)。

 「フェムト」は「ピコ」の更に1000分の1で、10のマイナス15乗。原子半径よりも小さい値。
 どうやら、「フェムトイオン」は無理っぽいですねw いやでも、原子核の大きさがおよそ10のマイナス15乗だそうですから、どこかのメーカーがこじつけそうな気も・・・ああああ、メーカーの節度に全く期待していない自分がいます(^-^;

<疑問点まとめ>
 とりあえず、感じた疑問点を箇条書きにしておきます。

(1)ピコであることにどんな意味があるのか
 マイクロよりも、あるいはナノよりもピコの方が優れていると言えるの? 言えるとしたら、どんな点で優れているの?
(2)菌やウィルスをどの程度「抑制」できるのか
 例えば10畳のリビングで使用した場合に、どの程度の割合で菌やウィルスを「抑制」してくれるの?
 プラチナフィルターは99.9%。じゃあ、「ピコイオン」は?

 要するに「ピコイオンによる菌・ウィルスの抑制」をウリにしている製品の紹介文に「ピコイオン」の効果や優位点が書かれていない(OHラジカルの効果は書かれている)というコト(※1)でして、今後の情報開示に期待ですねっ!!

<注釈>
※1
 まあ、大抵の「◯◯イオン」には、同様の疑問を感じるわけですが(^-^;

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コメント

確かに、一消費者の立場として本当に知りたいのは、自分の所の環境でどれほどの効果があるかという、つまり「使ってなんぼか」という事なんですよね。
どうも原理ばかりが先行して、肝心な所が煙に巻かれてるという印象を受けます(他メーカーも同様ですが)。
ただ、一般消費者はこういう講釈に弱いというのも事実で、そこに怪しい製品が潜り込む背景があると思っています。

それにしてもこれ、消費電力ばかでかくないすか? シャープとは桁が違います。

投稿: OSATO | 2010年1月19日 (火) 00時32分

 やっと時間がとれたー。
 OSATOさん、こんにちは。

 がん細胞を塩漬けにしたら多分死滅するんでしょうけれど、食塩は「がんの抑制効果」を謳ったりはしないわけで、やっぱり通常の使用でどうなのか、ですよねえ。
 ・・・って、食塩ががん抑制効果を謳わないのは薬事法があるから、だったりしたらヤだなあ(^-^;

>一般消費者はこういう講釈に弱いというのも事実

 家電の類は特にひどいような気が。あ、でもマイナスイオンの出るアンプやパソコンもありましたね(^-^; 結局室内で設置して使うようなものだと、売りになるのかなあ。

>それにしてもこれ、消費電力ばかでかくないすか? シャープとは桁が違います。

 シャープの商品紹介(http://www.sharp.co.jp/products/living/humidifier/prod01/hvy70cxw/index.html)を見ると、「強連続」と「省エネ」でずいぶん違いますね。
 東芝も省エネ運転なら下がるのかも知れませんが、書かれてないのは不思議。普通、消費電力の小さい方を強調したくなりそうなものですが。

投稿: ハブハン | 2010年1月21日 (木) 22時00分

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