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9割正しい検査を受けて出た結果が、9割正しいとは限らない、というコト

 連休中に消化出来なかった本やDVDやゲームを、ガンバって半分くらい片付けました。
 その中の一冊、別冊日経サイエンス「こころと脳のサイエンス 01号」の記事の一部をご紹介したいと思います。

(P.54より引用)

 マンモグラフィの結果が陽性だと知らされた女性が、主治医にこう尋ねたとしよう。「私は確実に乳がんなのですか。乳がん である 確率はどれくらいですか?」
 ギゲレンツァは2007年、婦人科医向けのある研修コースで160人の開業医に、女性と乳がんに関する以下の情報を前提に、上の質問に応えるよう求め た。

・ある女性が乳がんにかかっている確率(有病率)は1%である。
・乳がんの女性が検査で陽性になる確率(感度)は90%である。
・乳がんではない女性が検査で陽性になる確率(擬陽性率)は9%である。

 先ほどの女性の質問に対する最良の答えは次のうちどれだろう。

A.あなたが乳がんである確率は約81%です。
B.マンモグラフィーの結果が陽性になった10人のうち、乳がんであるのは約9人です。
C.マンモグラフィの結果が陽性になった10人のうち、乳がんであるのは約1人です。
D.あなたが乳がんである確率は1%です。

 検査の感度が9割もあると、陽性になった時点で病気であることがほぼ確定のような印象がありますけど、有病率が低い場合は、擬陽性である可能性が非常に大きくなる、というのがミソなんですね。
 こうやって問題形式になっていれば、まあ正解にたどり着けます。間違える可能性があるからこそ問題になっているわけで、自ずと慎重に検討しますし。
 でも、日常生活の中でなにげなく判断しているコトの中にこのような事例が入ってくると、間違いの可能性に思い至ることすらないまま結論を下してしまいそう。
 ちなみに私は、この問題の答えを出すために3分以上悩んでしまって、自分の数学的センスのなさに改めて気付かされました(^-^;

 なお、表現の仕方によって、正答率は大きく変わることも説明されていました。

 検査の統計値が自然頻度の形で提示されれば、医師たちはもっと容易に正しい確率を導き出せるだろう。例えば次のような形だ。

・女性1000人につき10人が乳がんにかかっている。
・この乳がんの女性10人のうち9人は検査結果が陽性になる。
・乳がんではない990人のうち約89人は、それでも検査結果が陽性になる。

 なるほど、こちらの表現のほうが分かりやすいです。式で表すと、こうですね。

 陽性になる、乳がんの女性の数=1000×0.01×0.9=9
 擬陽性になる、乳がんでない女性の数=1000×0.99×0.09=89.1

 表現を恣意的に選択することによって、与える印象を操作するような事例もイロイロありそうですね。数字に接する際には気をつけなくちゃ。
 つーか、もっとセンス身につけなくちゃ(^-^; 高校のときの教科書でも読み返そうかな・・・

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コメント

初めまして。

数学の問題として純粋に面白いですね。
もっとも女性としては(女性だけとは限りませんが)重要な健康問題ですから、面白いという表現はひんしゅくを買いそうですね^^;。

>・女性1000人につき10人が乳がんにかかっている。
>・この乳がんの女性10人のうち9人は検査結果が陽性になる。
>・乳がんではない990人のうち約89人は、それでも検査結果が陽性になる。

という事は、「女性1000人が検査を受けると、陽性結果は9人+約89人=約98人で、陽性98人のうち9人が乳がんにかかっている。」ですね。
ならば、答えは「C.マンモグラフィの結果が陽性になった10人のうち、乳がんであるのは約1人です。」でしょうか。

投稿: e10go | 2010年5月10日 (月) 18時26分

 e10goさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

>ならば、答えは「C.マンモグラフィの結果が陽性になった10人のうち、乳がんであるのは約1人です。」でしょうか。

 正解です(o^-^o)
 具体的な数字に落とし込んで考えると、分かりやすくなりますね。

 でも、9割正しい検査で陽性になったら、大半のヒトは「自分は9割の確率で乳がんなんだ」って、考えちゃいそうです。医師から正確な説明があれば良いのですけど、記事で紹介されていた事例では、正しい答えを選んだ産婦人科医(開業医)は21%だったそうです。

>もっとも女性としては(女性だけとは限りませんが)重要な健康問題ですから、面白いという表現はひんしゅくを買いそうですね^^;。

 あ、では男性にも関係ある例を。
 記事ではHIV検査のコトも紹介されていました。

<p.56より引用>
エイズに関する1987年のある会議で、当時フロリダ州選出の上院議員だったチャイルズ(Lawton Chiles)は、HIV検査結果が陽性だと知らされた同州の献血者22人のうち7人が自殺したことを報告した。
(中略)
異性愛の低リスク男性ではそもそもの感染率が非常に低いため、ある男性が検査で陽性になっても実際に感染している確率は50%にすぎない
(中略)
母集団の基礎比率によって検査結果が陽性であることの意味が決まる。
<引用終わり>

 1987年、ですから、エイズに関する理解が不完全だった、というコトも考えられるのですが、それにしても陽性の結果が出た人のうち約30%が自殺した、というのは驚きです。
 それだけエイズが深刻に受け止められていた、と言うことでしょうけれど、やはり「陽性」というコトの捉え方に、なんらかの誤解があったような気がしますね。

投稿: ハブハン | 2010年5月10日 (月) 22時34分

ハブハンさん、返信ありがとうございます。

 エイズの件、教えていただきありがとうございます。約30%の人が自殺とは・・・悲しい話ですね。
 当人にとっては深刻な問題だし、当時のエイズ情報では絶望的になるのも分かりますが、諦めずにいろいろ模索してくれれば死なずに済んだかもしれないですね。
 現在なら、心のケアも含めてカウンセリングシステムが整っていますが、当時ではそういったものが整っていないから当人が一人で悩む結果、自殺を選ぶんでしょうか。

 話は変わりまして、「女性だけとは限りませんが」と書いたのは、男性の乳癌もあるんですねえ。
 wikipedia「乳癌」では「男性も乳癌に罹患することがあるが、発生確率は1000人に1人である」とあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%B3%E7%99%8C

 私の知り合いに男性でGID(性同一性障害)の方がいまして、その方は女性ホルモンの投与で普通の女性並みの乳房を持っていまして、 実物は立派なものでした(見たんかい!)。
 ここまで立派だと乳癌になる可能性があるんじゃないか、と思って少し調べたことがあります。
 男性でも乳癌になった実例があるそうで、医者の話では、GIDの方やニューハーフの方で女性ホルモンを投与していると乳がんになる可能性はある、と言う事でした。

投稿: e10go | 2010年5月11日 (火) 20時09分

 e10goさん、こんにちは。

>約30%の人が自殺とは・・・悲しい話ですね。

 広く一般化できる数字でもないでしょうけれど、「不治の病」的な印象がガンよりも強いのは確かですよね。
 ただ、それで即自殺、というのも、今の私たちの感覚では、なかなか考えづらい話です。もしかしたら倫理観、もしくは宗教的な禁忌と結びついていたのかなあ。

>実物は立派なものでした(見たんかい!)。

 見たんかい!×2
 やっぱり女性ホルモン投与等は、リスクを上昇させる要因なのか・・・まあ性同一性障害のかたにとっては、行動を左右するほどのリスク要因ではないんでしょうねえ。

投稿: ハブハン | 2010年5月11日 (火) 23時49分

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