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読書感想_科学と神秘のあいだ

 年明けからずっと忙しい日々が続いていて、それでも連休はフツウにとれたんですけど、読もうと思って買いだめしておいた本はほとんど読まずに、大掃除し たり、お買い物に行ったり、散歩に行ったり、観光したりしてました(^-^;

 それでもガンバって読んだ本についてご紹介。

「科学と神秘のあいだ」_筑摩書房

 大阪大学サイバーメディアセンター大規模計算科学部門の菊地誠教授(kikulogのブログ主)がwebちくまで連載していたエッセイを、一冊にまとめたものです。

<内容の概略>
 この本の要約はとても難しくて、多分ヒトによってポイントが大きく変わるはず。だから私の以下のまとめは参考程度にしておいてください。

第1部 君と僕のリアル
 個人の事実、経験が持つ意味
 「自分の目で見たものしか信じない」のは、一見科学的だけど実は危うい、というコト。
 リアル(現実)はひとつでも、リアリティ(個人が感じる「現実味」)は千差万別、というコト。
 「まずありそうにない」と「ありえない」の間の深くて暗い溝。
 知識や常識を適用範囲外に適用してしまうことの問題。

 とにかく、見ちゃうものはしょうがないし、感じちゃうのはしょうがない。ただそういう経験をあとから客観的に考えなおせるかっていうのが大事なんだ。もちろん、考えなおして意味がわかる場合もあれば、結局はわからずじまいになっちゃう場合もあるのだろう。それはそれでしょうがないよね。わからないならわからないで、わからないという事実をとりあえず認めておくのが大人の態度だ。

第2部 <間奏>テルミン
 テルミンはとても自由で、とんでもなく不自由な楽器。

 自由さと不自由さは互いに鏡に映った像のようなもので、一方だけを取り去るわけにはいかない。僕たちは自由を手にした代償として、不自由さに耐えなくてはならない。そういうものだ。

第3部 僕たちは折り合いをつける
 「万能」は、「何の役にも立たない」というコト
 善意や好意がかえって厄介な問題を引き起こすことは意外に多い、というコト。
 本人にしてみれば奇跡だけれど、誰かには必ず起こる、というコト。
 意思決定は、おうおうにして境目のないところに線を引いて分ける作業。
 グレーゾーンの問題。

 ニセ科学なんていう妙な問題を相手にしていると、あらゆる「説」を科学か非科学か、あるいは科学かニセ科学かのどっちかに決めなくちゃならないような気にうっかりなっちゃうかもしれない。でも、よく考えてみると、どこかにきっちりした線を引く必要なんてないんだ。無理に線を引こうとすることがそれほど建設的とも思えない。
 実際、たとえば科学と非科学の間というのはグラデーションになっていて、きちんとした線が引けるようなものじゃない。僕たちはこれを「グレーゾーン問題」なんて呼んだりしている。本当は問題なんかじゃなくて、グレーゾーンがあることを謙虚に認めようっていうだけの話なんだけどね。問題があるとすれば、どっちかに決めなくちゃならないと言う思い込みのほうだ。
 そういう微妙な領域があるとしたって、いっぽうには誰がどう見たって科学と呼べるものがたしかにあるし、あるいは逆に誰がどう見たってニセ科学っていうものも明らかにあるので、はっきりした線を引かなくてもそんなに困らない。

・・・てな感じ。
 読んでて、「好きな不自由を選ぶ自由」ってフレーズを思い出しました。マンガだったか小説だったかも忘れちゃったけど。
 「すべて思い通りになるのが自由 そんな誤解してるから簡単にうろたえる」・・・これはB'zか。

 個人が知ったこと、感じたこと、思ったこと、信じていること、夢、希望・・・私たちのオモイはとっても大切で、でもそれは正しいとは限らなくて、私たちの大切なヒトたちを救うこともあれば、傷つけてしまうこともあります。
 「大切なこと」と「正しいこと」の折り合いをどう付けるのか。そんなコトが切々と、飄々と、易しく、丁寧に、等身大の言葉で、つづられています。

<ウェブでの連載から変わったトコロ>
 私はWebちくまで連載していた時から拝読していたのですが、単行本になって、ホメオパシー、陰謀論、常温核融合など、具体的な問題とのヒモ付きが強化され、各テーマとの結びつきが明確になりました。
 連載当時は、読んだ後で、書かれている内容を自分の周りの現実に当てはめて考えてみる、という作業が発生していました(それが結構楽しかったりもしたんですが)。
 そのへんが補われた結果として、かなり一般のかたにも分かりやすくなっていると思います。

<変わってないトコロ>
 ・・・レッド・ツェッペリンとジミー・ペイジとロックとテルミンとSFに対する熱い情熱とコダワリと愛情(爆)

 全体の主意は変わっていなくて、まとまりを良くするための変更がメインですね。
 とりとめの無さがやや薄れたのは個人的には残念だけれどw その分とても読みやすくなっていて、本という形態で出す上では多分正解なんだろうな。

<誰に読んで欲しいと感じたか>
 どういうヒトに読んでもらったらいいか、はムズかしい(^-^;
 ニセ科学の問題に携わっているヒト、ではなく、ニセ科学を信じているヒト、でもなく、それらを知らないヒト、実感出来ないヒト、あるいは問題視していないヒト、騙される方がバカだと思っているヒトたち、かな。
 読んだ時に「ふーん」とか「そんなもんかねえ」とか「何をアタリマエのことを」とか感じるヒトたちに、そういうふうに感じながらでも読んでもらうのが良いような気がします。

 読んだ直後に感動したり、目からウロコがポロポロ落ちまくったり、「こ、これだっ! オレが求めていたのはこの本なんだよっっ!」と叫んだりするコトはないかも(^-^; けれど、読んだことがココロの底に残って、ナニかの拍子にふっと思い出したり、いつの間にか自分の考え方の指針になっている、そんな風になるといいなあ、と感じました。

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