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なんかいろいろ認めてしまっているホメオパシー新聞の記事

 日本ホメオパシー医学協会のサイト内、ホメオパシー新聞の12月22日付の記事を読みました。

 最初「ホメオパシーは死んでいない!」って空目してしまって、なんちゅーか悲壮感まんさいだなあ、と思ってしまいましたが、よく見たら「ホメオパシー“で”は死んでいない!」でした。

 裁判終了を受け、驚きの「真相」がぞくぞくと明らかにされています。

原告の訴状においては、「ビタミン K2シロップを投与せず、長女は同年10月、ビタミンK欠乏性出血症による硬膜下血腫を発症して死亡した。」となっておりますが、今回、ビタミンK2シ ロップをとらなかったことが原因で死亡したという因果関係は認定されていませんし、何故死亡したかの原因は、明確になっておりません。

 私の感覚だと、以下の事実があれば、K2シロップ不投与が死亡の原因、とすることになんの疑問もないんだけど・・・

(1)K2シロップ投与による乳児死亡率の低下
(2)K2シロップの不投与

 K2シロップを与えないことにより、乳児の2000人に一人、重篤な結果が発生するとされています。一方、シロップを与えることによりその数は著しく減少しますが、0とは言えないみたいです。
 つまり、K2シロップを投与してもなお死亡する可能性がゼロで無い限りは「なぜ死亡したかの原因は、明確に」ならない、と言う主張みたいですね。
 飲酒運転の車が交通死亡事故を起こしても、飲酒が原因で交通死亡事故が起こったという因果関係は認定されませんし、なぜ死亡したかの原因は明確になりません。ってのと同じロジックですね(※1 2011/01/05追記

 それとも、交通死亡事故の場合は法で裁かれれば、認めるのかな。
 裁判によって事実認定されない限り、決して因果関係を認めることはないってことかな。

原告(母親)は 被告(助産師)が、母子手帳にあるK2シロップの投与欄に「投与した」と記録をしていたことについて言及していますが、真相は、助産師 は、母子手帳に「K2シロップ投与」と記載しておかないと、検診時に小児科などで勝手にK2シロップを飲まされるので、原告の意向を受けて、K2シロップ を「投与した」と記載したものです。 助産師は、K2シロップ投与という記載は、母親の前で、母親の同意をもらって行ったと言及しています。

 ってことは、助産師は少なくとも虚偽の記載をしていたことは全面的に認めているわけですね。
 そして、母親の同意があれば、母子手帳に虚偽の記載をしても構わない、と考えている(少なくとも当時考えていた)わけですね。

助産師は「ビタミンK2シロップに関してはもちろん理解し、なぜビタミンKを与えるのかという説明の中で、ビタミンKは止血作用があり、頭蓋内出血の予 防のために与える」と説明したと述べています。

 助産師はK2シロップの不投与及び虚偽の記載を行う段階で、その行為の危険性を十全に認識していた、ということですね。

これに対し、母親は、説明を受けたことを覚えていないらしく、今回の訴訟では母親は事前説明がなかったと主張しておりました。助産師は、基本的に、同意が得られなければ、K2シロップを与えないということはなく、今回は投与前に事前に説明をし、母親の了解を得 ていたと主張していました。

 助産師は説明した(その気になっていた)けれど、実際には全く伝わっていなかった、かつその確認も記録もとっていなかった、というコトですね。

助産師は、母子手帳に「K2シロップ投与」と記載しておかないと、検診時に小児科などで勝手にK2シロップを飲まされるので、原告の意向を受けて、K2シロップを「投与した」と記載した

 リスクの増大を認識していながら、担当医をだまし、リスクが低下しないように虚偽の記載をした、という事ですね。
 そして、母親の同意さえあればそれは問題ない行為だ、と思っていたという事なんですね。

今回亡くなったのは、第二子であり、第一子の時にもこの助産師が対応していました。 第一子の時は、母親に「何もいらない」と言われたので、ビタミンK2シロップも同様に与えていなかったということです。

 常習的に(少なくとも複数の事例で)同様の行為を行っていた、という事なんですね。

ホメオパシーのレメディーは、ビタミンK2のシロップの代用にはなりません。この点、助産師は明確に理解していました。

 助産師は、レメディがリスク回避にならないと明確に理解していながら一連の行為をおこなった、という事なんですね。

ホメオパシーのレメディーは妊娠、出産時のそれぞれの段階で、自己治癒力を触発するために症状に合わせて使用し、一連の適切なレメディーをとることで、妊娠、出産のサポートを行うものです。

 今回K2レメディは、どのような「症状に合わせて使用」され、どんな効果を及ぼしたんでしょうか。どこにも効果の説明がないですね。
 少なくともK2シロップと同様、では無かったみたいですが。


 ・・・いやあ、びっくり。文章から読み取れることのみをピックアップしたつもりなのですが、恐ろしくてトリハダが立ちました。
 ホメオパシーの各団体は、このような事例が二度と発生しないよう、団体員を徹底的に、継続的に指導するべきではないでしょうか。

 この記事の主張を信じるに足る理由は無いわけで(だって裁判で認定されていませんものね)、K2シロップ不投与に際して原告の希望が実際にあったかどうかは分かりません。
 ですが今回の事例とは別に、クライアントが知識不足・理解不足・盲信から、非合理的な選択を行ってしまうのはよくあることでしょう。
 「本人の選択」というだけでホメオパスが非合理・非科学的な行為をためらいもなく幇助してしまう状態であれば、彼らを統括するべき団体が批判を受けるのはあたりまえだと思います。


<2011/01/05 追記>

※1
 Not so open-minded that our brains drop out.さまの2010年8月28日のエントリ、「日本学術会議のホメオパシー否定会長談話とホメオパシー関連団体の反応」で同じツッコミがはるか以前にされておりました。うひー
 ・・・ま、まあ、ミンナに同じ感想を抱かせる主張だってことで(^-^;

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