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プラセボについてちょっとだけ考えてみた

 プラセボに関する議論を拝見して、色々と考えていました。

kikulog様の以下のふたつのエントリ

「予防接種は「効く」のか? ワクチン嫌いを考える」岩田健太郎
プラセボ

 プラセボについては、代替医療とのカラミでは結構前から考え続けているのですが、なかなか自分の見解をまとめることができてません。
 まだ考え途中なのだけれど、考えたところまでを散文的に書いておきます。
 周回遅れのことをネチネチ書いてるだけになっちゃってるかも知れませんが、ご容赦を(^-^;

 プラセボはしばしば代替医療の拠り所(「プラセボでも何でも、効果があるんならいいじゃないか」)になっていて、「プラセボを許容するべきか」が、「代替医療を許容するべきか」という論点を含んで議論されたりもします。
 でも実のところ両者は独立していて、代替医療とは無関係に考えた場合、プラセボを医療の中で許容するかどうかは、パターナリズムをどう考えるか、の一点につきるような気がします。

 んで、医師が処方するケースに絞って考える場合は、かなり限られた状況が想定されるのかなあ、と思います(その限られた状況が、現場においては頻発してそうな気もしますが)。

(1)医師が想定する効果的な治療法がある。
(2)患者の希望する治療法が、無効果あるいは有害である。
(3)患者が「病気を治したい、健康になりたい」という大枠のニーズを持っている。
(4)これらの齟齬が医師からの情報提供によって解消されない。

 患者の選択の権利を尊重するならば、患者がより効果の小さい治療法を選択することを尊重しなければなりません。
 プラセボは患者が希望する治療法の代わりに処方され、かつそのコトが患者に伏せられますから、患者の選択の権利、知る権利を侵しているということで批判の余地があるのですよね。

 一方で、患者自身の希望が明らかな錯誤に基づいており、患者の望まない結果をもたらす選択であった場合に、その希望を受け入れることがホントに患者の意思を尊重したものと言えるのかどうか。
 医師としては「プラセボを使用することが、患者の『健康になりたい』という、より大枠のニーズに応えることになる」という判断があって処方するのでしょうから、異なるレイヤーではむしろ患者の欲求に合致している、と言えるかも知れません。

 これは結局はコミュニケーションの問題で、患者に対して各選択肢とそれぞれのベネフィット・リスクをどのようにして正確に理解させるか、という課題なのですが、完全に解消するのは不可能でしょうね。
 交通事故と同じで、「いかにプラセボの使用を減らすか」という検討は出来ても、なくすことは無理でしょう。
 「使うべき」VS「使わないべき」ではなくて、「なるべく使わないことが望ましい」では一致していて、その先のおハナシなのだろうと思います。

 まとめるとこんな感じかな。

 患者の知る権利、選択する権利を尊重する点では議論はない。
 プラセボをなるべく使用しないほうが望ましい点では議論はない。
 患者の意思・希望に沿った治療が患者の望まない結果を引き起こす場合、かつ患者の錯誤が解消できない場合にプラセボを使用をどこまで許容すべきかには議論がある。


<2011/01/31 追記>


 ・・・なんか変だと思ってたら、自分がどう考えるのかがスッポリ抜けてました。にゃはは。

 私は、医療の現場で医師がプラセボを利用することは、許容されるべきだろうと思っています。
 ただし、医師の恣意的な判断に任されていると、どこかで必ず患者の知る権利および選択の自由とぶつかりますから、運用の基準が明確にされるべきでしょう。

 どんな状況、症状、患者、要求に対してならプラセボで対処するという選択が認められるかが明確になっており、公表され、遵守されていれば、かなり問題の少ない運用が可能だろうと思います。

 ・・・ん? 考えてみたらそういう基準、もうあってもおかしくないよなあ、と思って検索してみたのですが、引っかからないですね。そのかわり、既に議論されているのを見つけました。やっぱ周回遅れだぁ (;´Д⊂

Interdisciplinaryさまのエントリ、
ホメオパシーとプラセボと一貫性のコメント欄。

<追記終わり>

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