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読書感想_毒と私(2)

前回の続きです。

<過去のエントリ>

読書感想_毒と私

<ビタミンK2の副作用?>
 前回も引用した部分ですが、

(p.2より引用)

 2010年9月、この事件を受け他日本小児科学会は、新生児の脳出血などを予防するためのビタミンK投与について、「生後1ヶ月までに3回」とするそれまでの指針を、「生後3ヶ月まで毎週1回」と、投与期間の延長と回数を大幅に増やす改定を行いました。
(中略)
 その後、日本小児科学会は、ビタミンK2の投与について、2011年1月19日付で会員用ページに修正版を出し、明確な理由を明示しないまま、旧来の投与法に戻しました。
 なぜ、日本小児科学会は、改定したばかりの新しい投与法を突然取り下げ、旧来の投与法に戻したのか? これはあくまでも私の推測ですが、新しい投与法に伴い、ビタミンKの副作用(たとえば核黄疸「新生児黄疸の重症型」など)が出た可能性が疑われます。そうでもない限り、あの状況で旧来の投与法に戻すことは考えにくいからです。

 この「日本小児科学会が投与方法を旧来の方法に戻した理由は、ビタミンKの副作用があったから」という推測の妥当性を見ていきたいと思います。

 なお、ビタミンKに副作用があろうがなかろうが、件の助産師の行為(ビタミンK不投与事件)の正否にはなんら影響しないことは強調しておきます。

 さて、この記述については、すでにkikulogのコメント欄で指摘がされています。

エントリ:助産院のビタミンK2レメディ問題、つづき

コメント#11 ふぃっしゅさん

 昨年8月に小児科学会が「3か月まで毎週1回内服」の改訂ガイドラインを出したあとで、9月6日付けでまだビタミンK2シロップの個別包装化が実現されていないので現場の混乱を生じさせたこと、個別包装化されるまでは現行の方法で投与することのお知らせが出ていました。(現在このお知らせは削除されています)

 1カ月健診以降に毎週1回K2シロップの内服を実施するためには家庭に持ち帰ってもらう必要があり、以前の50mlのボトルの形態では困難であったからです。
 9月6日付けのお知らせでは、1回分ごとの個別包装化の認可を出すためにはガイドラインを提出するように厚労省から指示があったと書いてありました。
 いずれにしても、今年の2月からは個別包装に切り替わっています。

 周産期医学 vol.40 増刊号/2010 「周産期診療指針 2010」(2010.12.20発行)の「ビタミンK欠乏性出血」P.994には「改訂ガイドラインでは自宅での投与も行われるので、その施行にあたっては我が国では認可されていないビタミンKの個別包装製剤の販売が前提となる。現在、個別包装製剤の発売準備が進んでおり、近々、新しいガイドラインに移行できる見込みである。」と書かれています。

 また、助産院は安全?の最新のエントリー「日本産婦人科医会が『開業助産所』での局麻使用・縫合に反対の意思表示・抗議文」(2011-8-19)
http://d.hatena.ne.jp/jyosanin/Link の資料、「日産婦医会報23年7月号」のP.5,左列の真ん中あたりに、K2シロップの投与方法に関する質問があります。
 その回答でも「現在は小児科も産婦人科も同一のこのガイドラインに沿って行うことになりました。」とあります。


 こども健康倶楽部さまのサイト内に、日本小児科学会から出された追加情報の文章が記載されています(大元の記事はやっぱり削除されているみたい)。

新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症の改訂ガイドラインの実施時期について

緊急連絡
日本小児科学会雑誌8月号に掲載された
「新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対するビタミンK製剤の
改訂ガイドライン」の取り扱いについて

 8月号に「新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対するビタミンK製剤投与の改訂ガイドライン」を掲載しましたが、現時点では従来どおりの3回投与でお願いいたします。  「新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対するビタミンK製剤の改訂ガイドライン」では、ビタミンK2シロップの家庭での投与が必要です。 これはビタミンK2シロップ個別包装製剤が認可されてはじめて可能となります。 現在、日本小児科学会および関連学会は、個別包装製剤の早期承認を求めているところですが、認可時期は未定です。

 したがいまして、現時点では従来どおりの3回投与でお願いいたします。
 このたび、ビタミンK個別包装製剤が承認される前の時点でのガイドライン発表により会員の皆様に混乱を生じさせたことをお詫び申し上げます。
 また、個別包装製剤が承認された段階で速やかに会員の皆様にお知らせいたします。日本小児科学会新生児委員会

ビタミンK投与法の見直し小委員会

 ということで、「明確な理由を明示しないまま」と書かれていましたが、理由は「改定に対応するために必要な個別包装製剤が認可されておらず、認可時期も未定だったため」ですね。明確だし、明示もされています。

 「明確な理由を明示しないまま」書かれていたのは、

 これはあくまでも私の推測ですが、新しい投与法に伴い、ビタミンKの副作用(たとえば核黄疸「新生児黄疸の重症型」など)が出た可能性が疑われます。

という文言のほうでした。というオチ。
 世間一般では、「これはあくまでも私の推測ですが」と書けば、その後にナニを書いてもおk的なコンセンサスがあるんでしょうか。
 「コレはあくまでも私の推測ですが、ホメオパシーは・・・」みたいに書かれるのは、ホメオパスのみなさん、OKですか?

 著者は少なくともビタミンKの効果については認めていたはずです(その効果の大きさを正確に把握しているかどうかはともかく)(※1)。そして、それを投与しないことによって発生するリスクについても。
 広く使用され、一定の効果が得られている医薬品に対する「副作用」を、読者が重大に受け止めかねないような表現で、しかるべき根拠があるならともかく「私の推測ですが」レベルで書くことの弊害について、どうお考えなんでしょうか。書籍は容易に訂正・追記できないんだし、もっと慎重な書き方をするべきだと思いました。

 ・・・あああぁ、まだ3ページだ (;´Д` 
 論点が多すぎて・・・
 また続くかも。

<注釈>
※1
 コレについては、本書の別の場所で言及されていて、効果を過小評価しているように見受けられるのですが、効果自体を否定してはいないと判断しました。

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