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電子レンジ有害論(3)_有害論の元ネタを確認してみた_Hans Hertel氏のゆってること

<前回までのエントリ>
電子レンジ有害論(1)_まずは電子レンジの仕組みから調べてみた

電子レンジ有害論(2)_電子レンジのナニが有害だと言っているのか

 有害論をたどって、いきついたHans Hertel とLita Lee。
 このお二人がどんなことをゆってるのか、調べてみました。まずはHans Hertelから。

 と、言っても、Hertel氏の「臨床実験」の内容は、正式な論文にはなっていないようで、Yahoo! 知恵袋ではこんな紹介のされかた。

<リンク9>

電子レンジは普段の料理で使うことが多いのですが、ある人に「電子レンジを使うこ...

Q.

電子レンジは普段の料理で使うことが多いのですが、
ある人に「電子レンジを使うことで人間の食べる食品じゃなくなる」といわれ
ミルクをチンするだけでも、身体によくないと言われてしまいました。
そんなこと聞いたこと無いですか?

A.

「電子レンジは危険」と言う人たちのサイトをチェックすると、この話の元ねたは、ハンス・ヘルテルなる人物が1992年に報告した「実験」に行き着きます。

この「実験」、実は学会にも学会誌にも発表されていません。

(中略)

なにしろデータも実験方法も出してないので、当然誰も追試できません。

つまるところ、
「特に根拠もなく言っているだけ」
の話でしかありません。

この人の説は、欧米ではすでにトンデモ扱いされており、UFOや古代超文明を扱う「ムー」系の雑誌のネタ位にしか使われていません。
http://landru.i-link-2.net/georgie/micro/microall.html
http://www.nexusmagazine.com/articles/microwave.html

 んで、その「『ムー』系の雑誌」に載っていた記事とおぼしきモノがこちら。

<リンク10>

Mercola.com

The Proven Dangers of Microwaves

Extracted from NEXUS Magazine, Volume 2, #25 (April-May '95).
Originally printed from the April 1994 edition of Acres, USA.

(前略)
Lymphocytes (white blood cells) showed a more distinct short-term decrease following the intake of microwaved food than after the intake of all the other variants. Each of these indicators point in a direction away from robust health and toward degeneration.

(中略)

Erythrocytes, hemoglobin, mean hemoglobin concentration, mean hemoglobin content, leukocytes and lymphocytes were measured. The chemical analysis consisted of iron, total cholesterol, HDL cholesterol and LDL cholesterol. The results of erythrocyte, hemoglobin, hematocrit and leukocyte determinations were at the "lower limits of normal" in those tested following the eating of the microwaved samples. "These results show anaemic tendencies. The situation became even more pronounced during the second month of the study," Hertel added.

"And with those decreasing values, there was a corresponding increase of cholesterol values." Hertel admits that stress factors, from getting punctured for the blood samples so often each day, for example, cannot be ruled out, but the established baseline for each individual became the "zero values" marker, and only changes from the zero values were statistically determined. With only one round of test substances completed, the different effects between conventionally prepared food and microwaved food were marginal-although noticed as definite "tendencies".

(中略)

"Leukocytosis (an increase in white blood cells)," Hertel explained, "which cannot be accounted for by normal daily deviations such as following the intake of food, is taken seriously by haematologists. Leukocyte response is especially sensitive to stress. They are often signs of pathogenic effects on the living system, such as poisoning and cell damage. The increase of leukocytes with the microwaved foods was more pronounced than with all the other variants.

(以下略)

 英語は苦手でして(^-^; 逐次翻訳をしようとしてザセツ。
 だいたい以下のようなことが書かれています。

(1) 8人の被験者をホテルに隔離し、8週間にわたって実験を行った。
(2) 電子レンジで解凍又は調理した野菜や生乳とそうでないものとを摂取
(3) 食事の前後で血液を採取し分析
(4) 電子レンジで調理した食事をしたグループには以下の変化が見られた。
   a. リンパ球(白血球)の減少
   b. 赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット値、白血球の減少(正常値の中の下限値となった)
   c. コレステロールの増加
   d. 白血球の増加

 知恵袋で紹介されていたとおりで、実験の条件として情報が示されているのは、被験者の実験中の制限

There was no smoking, no alcohol and no sex.

とか、被験者が摂取した食品の内容

raw milk from a biofarm
the same milk conventionally cooked
pasteurized milk from Intermilk Berne
the same raw milk cooked in a microwave oven
raw vegetables from an organic farm
the same vegetables cooked conventionally
the same vegetables frozen and defrosted in the microwave oven
and the same vegetables cooked in the microwave oven

 とか、くらいかな。データはやっぱり、まったく見つかりませんでした。(※1)

 っていうか、Hertel氏も実験に被験者の一人として参加していたそうで、実験の主体者じゃなかったの? データが無いのはそのせい? なんて一瞬思っちゃいました。
 でも、単に盲験の手順をまったくすっ飛ばして試験者=被験者として参加していたか、あるいは試験者と被験者がある共通のコミュニティの構成員だったと考えれば、被験者が実験結果を広報しているという奇妙な状況も、なんとなくナットクできますね(^-^;

 さて、上記引用先にはHertel氏の臨床実験以外の情報も載っていたので、ついでにそちらも引用しておきます。母乳を電子レンジで加熱した時の影響に関するものです。

"Breast milk can be refrigerated safely for a few days or frozen for up to a month; however, studies have shown that heating the milk well above body temperature-37&degree;C-can break down not only its antibodies to infectious agents, but also its lysozymes or bacteria-digesting enzymes.

So, when paediatrician John A. Kerner, Jr, witnessed neonatal nurses routinely thawing or reheating breast milk with the microwave oven in their lounge, he became concerned. "In the April 1992 issue of Pediatrics (Part I), he and his Stanford University co-workers reported finding that unheated breast milk that was microwaved lost lysozyme activity, antibodies and fostered the growth of more potentially pathogenic bacteria.

Milk heated at a high setting (72 degree;C to 98 degree;C) lost 96 per cent of its immunoglobulin-A antibodies, agents that fend off invading microbes. "What really surprised him, Kerner said, was finding some loss of anti-infective properties in the milk microwaved at a low setting-and to a mean of just 33.5degree;C.

 こちらは母乳中の免疫に関する機能が失われることを問題としてあげていますね。

(1) 母乳を電子レンジで加熱することにより、リゾチーム活性が失われる。
(2) 72℃から98℃に加熱することにより、96%の免疫グロブリン抗体が失われる。


 こうやって見てきたところでは、前回ご紹介した電子レンジの害のうちの、ちょうど半分くらいがHertel氏起源って感じですね。
 残り半分(発がん性物質の生成とか、アミノ酸のラセミ化とか)は、もう一人の雄、Lita Lee博士のほうになります。

 が、長くなりましたので、そちらはまた次回(^-^;


<注釈>
※1
 リンク10の記事では、Hertel氏が、勤めていた会社を辞めさせられたこと、スイスの裁判所から「報道禁止令('gag order')を出されたこと、などを紹介しています。
 それらは、Hertel氏の主張の正当性を裏付けるものではなく、むしろ一般には社会に損害を与える根拠のない流言飛語として処理されたと解釈できますが、記者はもちろん、大企業が金の力で、裁判所が法の力で、都合の悪い事実を封殺したと捉えています。
 見慣れた風景(^-^;

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