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ムズカシイことを易しく見せることの副作用、みたいなものもあるのかも。

 私が小学生だったころ、授業で水の沸点を調べたことがありました。
 水の沸点は100℃ですよね。
 当時の私たちも、それくらいの知識は持っていたので、まあ「温度が100℃になれば正解」みたいな感じで実験をするわけです。
 ところがところが。
 実際に水を加熱していくと、100℃ちょうどで沸騰するグループはほとんどありません。うちのグループは98℃で止まってしまい、それ以上上がらなくなってしまいました。
 他のグループの様子を見に行ったり、温度計の位置を変えてみたり、おしまいにはどこのグループが早く「100℃」に出来るかで競争になったりしてw

 もちろんそれはホントはおかしな話で、知らないことを確かめるために実験しているのだから、沸騰したときに温度計が98℃だったら、「水の沸点は98℃だ」が結論にならなきゃいけません。
 でも私たちは「答え」を知っていたので、98℃なのはおかしいと考えた。
 じゃあ、なにがおかしかったのか。

 水の沸点を左右する要素はいくつもありますよね。
 水に含まれる不純物、大気圧、水面の面積、加熱装置の能力・・・
 グループ間でそれぞれ値が違っていたということで、最も大きな要因は、温度計自体の誤差でしょうか(^-^;
 そういった色々な要因を考えるなら、実は「100℃じゃなきゃおかしい」ってことは全然無いわけです。
 逆に言うなら、もし本当に水の沸点を求めたいのなら、測定に影響を与えるような要因はすべてコントロールした上で、実験しなくちゃいけないですよね。標高の高い学校なんかでは、98℃こそが本来の水の沸点かもしれません。

 ことほどさように実験ってのは難しいもので、シロートが簡単に正しい答えを導けるものなんてごく限られているし、プロだって間違えることはいくらでもあるわけです。
(そういえば、超光速ニュートリノは、どういう結末になるんでしょうねえ・・・)

 子どもたちを集めて行うイベント的な実験では、科学のおもしろさを伝えて興味を持ってもらうことに重点が置かれている印象です。
 もちろんそれはとても重要で有意義なことだと思います。
 一方で、どこかでは実際の実験の難しさを知っておいてもらうことも必要なんじゃないかな、と感じることもしばしばあります(特にニセ科学界隈を見ていると)。

 そういった知識や経験があれば、論文がひとつあるからってウのみにしたりすることも、ちょっとは減るんじゃないかなあ。

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コメント

測定対象が100℃のはずなのに、温度計の読みが数度低めに出たのは、たぶん、全浸没させていなかったからだと思います。
小学生用ですから、安くて見やすい通称アルコール(実はケロシン系有機液体)を感温液に使った、棒状温度計でしょう。そうしますと、九分九厘、全浸没型といって、球だけでなく毛細管の所も、できるだけ読む目盛りに近い所まで、同じ温度にしないと、大きな誤差が出るタイプです。
詳しくは、JIS Z8705を確認してほしいのですが、感温液のガラスとの温度膨張率差を0.001℃^-1として、0℃の目盛りまでしか沸騰水に浸けていなくて、それ以外が30℃だったら、7℃も露出補正が必要になります。2℃で済んだということは、半分以上を沸騰水に浸けていたのか、露出部もある程度高温だったのだと思います。
温度計の感温液は、球だけでなく毛細管でも温度膨張しまして、それを含めて正しく測定できるように目盛りを切っているのですから、目盛りの所まで浸没させるのが正しい使いかたです。

小学校の先生は、こういう基本的なことを知らないのか、面倒だから生徒に教えないのか、どっちなのでしょうね。

投稿: mimon | 2012年4月16日 (月) 22時11分

mimonさん、こんにちは。

 ええーっ、そうなんですか?? 知らなかった・・・そうか、気温なんかを計る場合には、全体が同じ温度だから、問題ないんですね。

 どんな温度計を使っていたかははっきりと思い出せませんが、デジタルではなくて、ガラス製のものでした。みんなけっこうバラバラの値でしたが、93℃のグループはいなかったかな。98℃位を中心にバラついていたような気が。
 でも、うーん、やっぱ沸点測定で正しい結果を得るのはムズカシそうですねえ(^-^;

>小学校の先生は、こういう基本的なことを知らないのか、面倒だから生徒に教えないのか、どっちなのでしょうね。

 単に知らなかったのかも。そういうのって、ガッコの先生ならけっこう持っている知識なんでしょうか。
 放射線量測定に関連してどこかで話題になっていたような気がしますが、測定器自体の精度や誤差って、(私を含めて)一般の人はあまり気にしてなくて、なにかしらの数字が出たところで安心しちゃうトコロがありますね。
 水の沸点なら「100℃じゃない!違う!」って気づけるんですけど。

投稿: ハブハン | 2012年4月17日 (火) 21時55分

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