理想はたいてい理想的なもので
<2012/12/15 追記>
コメント欄にて、anonymousさんから以下のようなご指摘をいただきました。
本文中に掲載されているジャパンホメオパシーユーザーグループへのリンクに関してなのですが、手持ちのウィルスバスターから、「リンク先のページにて悪意のあるプログラム又はオンライン詐欺が確認されている」という内容の警告がされます。
オンラインのサイト診断では特に何も発見されず、私のPCでも警告は出ておりませんが、閲覧の際はご留意ください。
anonymousさん、情報のご提供ありがとうございました。
<追記終わり>
こんなページを見つけました。
まだ作成中のサイトで、かつ更新は今年のあたまで止まっていますが。
いま存在している各団体とは違う、一般のホメオパシー利用者達の、草の根のコミュニティ、という位置づけのようです。
ちょっと内容をご紹介。
<トップページより>
一連のホメオパシー報道に関して †JPHUではホメオパシー批判報道に対して、反論を掲げることは考えておりません。科学とは一定の距離を保ちつつ、学問として(例えば神学や文学のように)さらにホメオパシーの知識を蓄積、共有していきたいと考えています。JPHUニュース2011/03 ホメオパシージャパンが東日本大震災で便乗商法-放射能に効くレメディhttp://jphma.org/kyoto_symposium/index.htmlJPHUとしては震災の便乗商法に反対の声明レメディでは放射能の被曝を防ぐことはできません
JPHUは、日本で初めてのホメオパシーユーザーによるグループです。ホメオパシーのユーザー同士が情報を交換しあい、啓蒙し合うのが目的で設立されました。
ホメオパシーを取り戻そうホメオパシーは本来誰のものでもありません。ホメオパシーは科学からは否定されますが科学全盛の現代では仕方ないことでしょう。営利企業に商売として利用されることも稀ではありません。
しかし古い学問とはいえ、特定の団体や企業が独占することはできません。ホメオパシーはあらゆる制約から自由なのです。ホメオパシーを家族を含めて自分個人以外の人に薦めてはいけませんが、個人であるユーザーが楽しむのに制限はありません。
科学や営利の道を捨てましょう。ホメオパシーには純粋な学問として、そして個人の楽しみとして輝ける道が見えています。少し道を間違えただけでその輝きはまだ失われていません。学問ならば例えば神学や文学など科学で説明できないことは制約とはなりません。
おかしな方向への転換 †レメディに元の物質が分子1つすら含まれないとなると、人体内でいかなる化学反応も起こらないことになってしまう。
ここでホメオパシーの重要な基礎理論が変更を迫られる。そしてここで決定的に誤った方向に転換してしまう。科学によってその欠陥が指摘されたホメオパシー理論が、基礎理論の希釈の解釈として科学的な概念を取り入れてしまったのだ。
(中略)
こうした科学の進歩から見て、ホメオパシーの「波動の転写」という仮説は話にもならない。そもそも「何の」波動のことなのかわからないので、これを裏付ける実験すら考えることができない。反証不可能なので科学で扱うことができない。
(中略)
こうした波動の転写のアイデアの「ありえなさ」がホメオパシーバッシングを呼ぶ原因になっている。なぜこれまでのホメオパス達がここまで信頼できないホメオパシー理論を放置してきたのか理解に苦しむ。過去のホメオパス達には勉強も努力もまったく足りなかったと結論せざるを得ない。宗教が科学と戦ってきた教訓もまったく活かされることはなかったは本当に残念だ。
転写のアイデアは捨てるべきだ。
(中略)これからの科学との付き合い方 †科学とは一定の距離をおくべきだ。
さらにこれ以上の世界的なホメオパシーバッシングを避けるためには「波動」や「転写」などの科学的にありえないアイデアや、素粒子物理学と矛盾する主張は捨てるべきだ。これらはホメオパシーバッシングの恰好の標的となっている。ホメオパスやユーザーに取ってもこの説を堅持するメリットはない。
などなど、既存のホメオパシー営利団体とは一線を画す主張がされていて、なかなか興味深いです(「波動」や「転写」の概念がバッシングの標的になってる、ってのは、ちょと違う気がしますが)。
かと思うと、
NES HEALTH SYSTEM http://neshealth.jp/25秒でレメディを決定できる機械
などというリンクが貼られていたりもして(^-^; 現時点ではどうもサイト全体の整合がとれていない部分もありますが、最終的にはバランスがとられるんでしょうか。
日本の先鋭的すぎる一部のホメオパシー団体が引き起こしている種々の害悪に対し、批判が集まっているのは周知の通りですが、私は(多くの人は)ホメオパシー自体を否定している訳ではありません(ウソの情報によって人をだまし、医療を拒否させる行為が最も問題視されているんだってコト、分かっていない人が多そうですが)。
穏健なホメオパシーが、人や社会に有害でない範囲で存続する分には、それこそ個人の自由の範疇と言えるものになるかも知れません。
いま最先端を突っ走っているヒトたちが将来我にかえったときに、彼らの傷をいやす受け皿になってくれるかも知れないし、ぜひこういった活動が、健全な形のままで(←重要)根付いて欲しいな、と思います。
さて、穏健な組織や活動が、穏健さを保ったまま存続・発展していくためには何らかの歯止めが必要で、思いつくところを書いてみます(リンク先を見るかぎりでは、そういう検討が進められていそうですが)。
(1)医療に関連する「有効性」を謳わないこと。
現代においては、科学的検証から距離を置くというのは、医療効果を標榜しないことと同義になります。
「科学ではない。でも効果がある」ってのは、科学の厳格な批判や検証を回避して不当に売り込もうとする悪辣なニセ科学が使う手段ですから、効果を謳わないというのは、科学と距離を置いて活動を行う以上大前提となるでしょう。
もちろん、医療としての効果ではなく精神的な効果を謳うことはあってもいいかも知れません(それも内容によりますけど)。
リンク先では「個人利用ならOK」的に書かれていますが、もしホメオパシーの医療効果が第三者に対して喧伝されるようなことがあれば、そこはやはり批判の対象になるでしょう(今の団体だってやたら「自己責任」を強調しているトコロがありますが、それが彼らの行為の免罪符になっていないことは明らかですよね)。
(2)ホメオパスの「してはならないこと」が明確になっていること。
組織員の行動を制約することは、コミュニティにとって大切なことですよね。いろいろな団体が乱立しているホメオパシーは、制約を明確にすることが、胡乱な団体とは異なることを示す上での生命線になります。
制約には「しなければならないこと」と「してはならないこと」の両方が考えられますけど、ホメオパシーの場合は特に「してはならないこと」を明確にすることが必要でしょう。
ホメオパシーを利用しようと言う人はたぶん、健康を求めてホメオパシーを選択するのだろうと思います。
そういう人たちが制約なしに活動をすれば、どうしたって確かめられてもいない健康効果を得ようとしてホメオパシーを利用し始める、ひいては医療の拒否を始めるのが自然の成り行きです。
科学的手法を歯止めとして用いないなら、別の歯止め=厳格なルール決めが必要になります。宗教で言うなら「戒律」にあたるものですね。
(3)制約を守る人だけが処方できるよう、なんらかの認定制度を備えること。
せっかく制約を定めても、誰も守らなければ意味はありません。でも、不特定多数が好きに活動できる状態では、どうしたって逸脱は頻発するでしょう。そして、日本のホメオパシーの現状を考える限り、逸脱は、今おこっている様々な問題と類似したものになるでしょう。
自分で使う分には、自己責任との間の線引きは微妙ですが、少なくとも他人に対して好き勝手には処方できないようにする必要がありそうです。そのために、認定制度をもうけることは、有効で妥当な手段でしょう。
と言っても既存の団体の認定制度は特に役に立っていなさそう(^-^; 単に形式だけあればいいというモノではありません。
ホメオパスとして適切な行動をとれるかどうかを基準にして認定すること、認定を受けることに何らかのインセンティブをもうけること、認定を受けずに処方することに何らかのペナルティをもうけること、認定ホメオパスの活動を監視し、必要に応じて是正できるような仕組みをつくること、などが必要でしょうね。
っと、こんなもんかな。愛好家による非営利のコミュニティにはそぐわない方向ですけど、これらはどうしても必要でしょうね。
この辺のことが明確に定められていないと、コミュニティが拡大するにつれ逸脱も増えていき、最終的には似たような団体がいっこ増えただけ、ってことになっちゃいそうなので。
医療としての効果を謳わず、シロウトが勝手に処方もできないホメオパシーが、人々の目に魅力的に映るかどうかは分かりません(^-^;
でも批判を受けない形でホメオパシーが存続していくために、穏健派のかた達にはぜひがんばって欲しいですね。とても難しいだろうけど。
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コメント
はじめてコメントいたします。
本文中に掲載されているジャパンホメオパシーユーザーグループへのリンクに関してなのですが、
手持ちのウィルスバスターから、
「リンク先のページにて悪意のあるプログラム又はオンライン詐欺が確認されている」
という内容の警告がされます。
念のため、本文中にも注意書き等を一言添えて頂ければ、と思いコメントさせて頂きました。
よろしくお願いします。
投稿: anonymous | 2012年12月15日 (土) 21時56分
anonymousさん、コメントありがとうございます。
ご指摘いただいた内容について、本文に追記しました。
投稿: ハブハン | 2012年12月15日 (土) 23時11分