慣れているほど気づかない
なんとなく、ゼノンのパラドクスを連想した。
kikulog様の新しい記事。
詳細はリンク先のとっても分かりやすい説明を読んでいただくとして、こーいうのに詳しい人なら、
放射線の強さは距離の2乗に反比例します。
っていうのは知ってるんだろうし、そうじゃなくても「離れるほど弱くなる(近づけば近づくほど強くなる)」って、フツーに考える事ですよね。
でも、どんなに近づいても、もともと出ている以上の量の放射線を浴びるコトは無い、ってのも(こうやって言葉にしてしまえば)当たり前の事に感じます。
しかし、「放射線の強さは距離の2乗に反比例します」ってのを杓子定規に、絶対的に考えてしまうと、線源との距離がゼロになったときに、放射線の強さは必ず無限大になってしまいますよね。だって距離は、数字の上ではどこまででも割っていけますから。
ただ、「距離の2乗(表面積)に反比例する」っていう表現があまりにも分かりやすすぎて、ついつい絶対的に扱ってしまうって言うのも、気持ち的には分かることです。
物理学、科学で出てくる数式って、しばしば印象的なくらいシンプルですよね。有名なのはやっぱりE=MC^2 でしょうか。
私が個人的に覚えているのはボイル=シャルルの法則です。
学校で習ったんだか、会社に入ってからだったかもう忘れちゃいましたが、こんな式。
PV=nRT
P:圧力
V:体積
n:物質量
R:気体定数
T:絶対温度
んで、なんで印象に残っているかって言うと、気体の体積と圧力と温度の関係が、すごくシンプルに表されているからです。例えば、
「圧力が一定なら、温度が2倍になったときに体積も2倍になる」
「体積が一定なら、温度が2倍になったときに圧力も2倍になる」
「温度が一定なら、体積が2倍になったときに圧力は半分になる」
おおっ、こんなにシンプルな関係なのか!! って思いました。初めて聞いたときに、誇張ではなくちょっと感動しました。
でもこれ、「理想気体」で成り立つ式で、実際の気体ではこの式通りにはならないんですよね。原子・分子の大きさだとか、分子間力だとかが考慮されていないんです(詳しい説明がこちらにありました)。
完全に一致しないとしても、もちろん有用です。ただ、絶対的なモノとして考えてしまうと、場合によっては実際と大きくずれてしまうコトもあるわけです。
シンプルで分かりやすい考え方、普段からよく利用している数式、応用のきく原理などは、あるときフッと、無意識に適用範囲を逸脱してしまうこと、ありそうです。
「センス」「リテラシー」などと表現するとちょっと違うかも知れませんが、適切なタイミングで自省できるかどうかが、わずかな、しかし重要な違いとなって表れるのかも。
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